第一生命 2016年4〜6月期、減収減益

投稿日:8月17日

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(第一生命保険株式会社HPより)

第一生命保険株式会社(8750)が9日発表した2016年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同月比58%減の484億円、一般事業会社の売上にあたる保険料等収入は18%減の1兆923億円だった。

10日に出揃った大手4社とも前年同期比が減、マイナス金利政策による金利低下などの運用環境の悪化、為替の円高による収益の悪化を要因に挙げている。さらに、第一生命は一時払い保険の予定利率の確保が難しくなり、貯蓄性保険商品の販売を抑制している。

各社とも運用益が確保できないので保険商品を売りたくても売れない状況に追い込まれている。

更にネット生保も全く元気がない。なかでも、ネット生保の先駆、ライフネット生命は2008年5月の営業開始以来、赤字決算を続けている。契約獲得時に経費が多くかかる生命保険事業とはいえ、新規契約件数の落ち込みが厳しい。新契約は2011年度、2012年度の6万件超えを境に減少に転じ、2014年度はピーク時の半分以下の水準にまで転落した。株価も上昇に転じる気配がない。

ヨーロッパの知の巨人と言われ、「ヨーロッパ復興開発銀行」初代総裁にして経済学者である、ジャック・アタリは著作『21世紀の歴史』のなかで、「リスクが増大し、不確実性が増す21世紀において、世の中の不安から守って欲しいという『保障への要求』と世の中の不安から解放されたいという『気晴らしへの要求』で、保険業と娯楽産業が2大産業となる。」としている。とすれば、新たな時代の要求に寄り添った、新たな商品の開発が求められるのではないか。

顧客情報を既に掴んでいる国内の保険各社が、ビッグデータやAIなど新たなテクノロジーを駆使して大きなイノベーションを起こしていく事を期待したいところであるが、国内の規制というぬるま湯に浸かっている間に、既に英、米で保険業界に進出しているグーグル等、別業態からの黒船に一気に駆逐されてしまうだろう。

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企業分析関連ページ
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第一生命保険株式会社
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IR情報
株主・投資家の皆さま|第一生命について|第一生命保険株式会社
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株価
第一生命保険(株)【8750】:銘柄情報 – Y!ファイナンス
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(文責 金融資産運用設計士補 阿田祐一・あだゆういち)